「歌を通じて地域とつながる」
〜しおん地域包括支援センター ✕ Masaya ang kanta(アカペラアンサンブル)〜
取材日時:2024年12月21日(土)
会場:しおん地域包括支援センター
「Masaya ang kanta」公式HP
高齢化が急速に進む日本において、福祉や介護はとても重要な分野です。特に最近では健康寿命について論じられることが増えています。如何に人生にやりがいを見出し、日々を元気に過ごせる時間を長く保つか。国全体の医療や福祉、介護全体に大きな影響を与える、重要な課題として認識されています。
そのような中で、趣味や娯楽の力があらためて注目されています。趣味と健康に関する報告は、様々なところで発表されています。趣味や就労、ボランティアなど社会的な活動を行っている人は、そうでない人と比較して有意に健康寿命が延びるとの報告が数多くなされています。
また、その中でも注目されるのが「趣味を通じて人と出会い、集まること」の意義です。趣味の活動そのもの以上に、それをきっかけとして外出し、人と出会うことが重要であるとの指摘もされています。人間は社会的な生き物であり、常に他者を必要とします。社会的孤立や孤独が世界的な課題として認識されてきた昨今、趣味という余暇の持つ力が再認識されつつあるのです。
その福祉や介護分野における最前線とも言える施設が、地域包括支援センターです。地域包括支援センターとは、高齢者やそのご家族など、様々な支援を必要とする人たちが気軽に相談を出来る場所として用意されています。介護を受ける人、介護をすることになった人、はじめて介護に関わる人、長く介護に関わる人。様々な立場の方々が利用する、たいへん重要な役割を担っている施設です。
しおん地域包括支援センターは、川崎駅からほど近くにある地域包括支援センターです。近年、人が増え続けている川崎市ですが、社会的孤立や孤独の問題は、むしろ深まっているとも言われています。人がたくさんいる街中において、人はより強く、自分の孤独を感じることもあります。155万都市の川崎市だからこそ、あらためて地域を再構築し、人と人とのつながりを発展的に取り戻していくことが求められています。
2024年12月21日(土)、しおん地域包括支援センター内の会場で、クリスマスコンサートが開催されました。演奏を担当するのは、株式会社ノンバーバルの代表、髙橋昌也さんが所属する『Masaya ang kanta(マサヤ アン カンタ)』というアカペラアンサンブルのグループです。しおん地域包括支援センターでのクリスマスコンサートは、2023年に続いて2回目です。昨年の開催時にご来場者の方々から高い評価をいただけたこともあり、前年に続いての開催となりました。
しおん地域包括支援センターの伊藤さんは、次のようにお話をされています。
「地域の中で閉じこもりがちな方が、昨年のコンサートで初めて当施設に来られて、とても喜んでいたことが印象的です。今回のコンサートでも、そんな孤独や孤立を感じられているような方に気軽に遊びに来てもらえたら・・・そんなことを考えて、昨年に続いてコンサートを企画させていただきました。」
一方で、Masaya ang kantaも長く苦しい時期が続きました。2020年のコロナ禍以降、歌を歌うことは大きな制約を受けました。それまで当たり前のように集まり、一緒に歌うことができていた日々。その日常を奪われ、歌を愛する多くの人々が、辛い毎日を送ることになりました。実際、それまで合唱などの音楽活動をしていた人が、コロナ禍の時期に大きく健康を損ねたという話が多く出ています。
歌いたい。歌う場所が、機会が欲しい。少しずつ文化的な活動が戻ってきている昨今ですが、まだ2019年の水準には戻っていないとも言われています。そのような中で、前年に引き続きクリスマスコンサートに出演できることを、メンバーもたいへん喜んでいました。
アカペラアンサンブルの特徴は、なんといっても「すべてが人の声で演奏されること」です。人間にとって一番身近な楽器である声。その声のみで演奏されるアカペラは、ある意味、もっとも人間の生命に近しい音楽とも言えるかもしれません。
今回のコンサートでは、全11曲、約45分に渡り演奏しました。クリスマス曲を中心に、耳馴染みのあるポップスからクラシカルな合唱曲まで、様々なジャンルの歌が会場に響きます。その中の4曲は歌詞カードも配布され、会場全員で一緒に歌いました。大きな声で歌う人。少し恥ずかしそうに、うつむきながらも歌う人。歌い方は人それぞれですが、みなさん、とても良い笑顔で歌って下さいました。
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◯会場に来られたお客様からの感想
*一人で部屋にいることが多く思い切って来てみてよかった。
*ずーっと今日を楽しみにしていた。素晴らしかった。
*歌を聴いていて鳥肌が立った。
*久しぶりに大きな声で歌った。楽しかった。
*来年もコンサートをやってほしい。必ず来ます。 etc.
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福祉・介護の最前線で人々の健康を護る地域包括支援センター。そこに集う近隣の住民の皆さん。そして地域で活動をする音楽家。三者それぞれが、生きることの喜びを再認識できる、素晴らしい機会となりました。
これからも、歌を通じて地域とつながり、ひとつでも多くの笑顔が生まれるような活動を続けられるよう、この連携を大切にしていきたいと考えています。
